それは、見事な
火曜日
バイト先へ向かう電車にのりながら、このままどこかへ行きたくなる火曜日。

雨が降っていた。マンションの表にある駐車場まででて、自転車では駅まででれない事を確認する。
家に戻って玄関先にある、傘を取り出す。一瞬、うす暗くて、物が活動を停止している、家の心地よい引力に引かれそうになって、駐車場とは反対方向のバス停まで早足で歩く。 去年の夏にバーゲンで買った安物の白いミュールが歩くたびに、足からはずれて強気な音をたてる。
押しボタン信号を押して、反対車線にあるバス停に行こうとしたところで、バスがきた。ハルは、歩くたびにずれる靴と雨脚がましている雨に悪戦苦闘しながら、何とかバスに飛びのった。
< 5 / 9 >

この作品をシェア

pagetop