それは、見事な
よく行く画材屋さんの名前を答えると、キューさんは意を決したように「私も、漫画をもう一度かいてみようと思うんですけど」言った。
ハルは、この出版社に入りたての頃に、キューさんの絵を見せてもらった事がある。いかにも漫画!というハルの絵とは違って、雑貨屋で売っているポストカードのようなセンスがある絵だった。
昔は、描いていたけど、今は描いていないと言っていたキューさんの変化に驚きながらも、漫画なり小説なり書いていそうな雰囲気があって、聞こうかどうしようかと思っていた矢先だったので、ハルはうれしくなってなんでも答えた。「是非、描いて下さい〜!」軽くいったつもりのキューさんが、ハルのテンションにあわてて「描いてみようかな〜という程度ですよ。」と注釈を入れる。それでも、描いたら見せて下さいという約束を取り付けて、会話はいったん途切れた。



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