君が笑ってくれるなら、それでいい。〜君のいない世界〜
言えなかった。

怖かった。

美桜が僕のそばから離れてしまうのが、この世の何よりも耐え難い。

「でもね、優希。私、強くなった。もう、泣かない。だから、優希もそんな悲しそうな顔しないで。泣かないから、ちゃんと、聞いて」

「…優希、好き。これからも、ずっと、優希のことを思ってる。たとえいなくなったとしても、この現実から目をそらしたりしない」

そう行った美桜の瞳には、強い光が宿っていた。

ああ、何で僕は、こんなにも強く思ってくれる美桜が、離れて行ってしまうなんて思ったんだろう。
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