君が笑ってくれるなら、それでいい。〜君のいない世界〜
もう、まともに美桜を見れない。

それでも、こんなことになったのは僕のせいなんだし、最後まで貫き通す。

すると、美桜の頬を涙が伝った。

思わず、抱きしめたくなった。

その涙を拭いたくなった。

でも、絶対しない。

生温い優しさは、逆に美桜を傷つけてしまうことになる。

「言いたいことってそれだけ?」

もう、この場に居たくない。

ずっとここに居たら、正直な気持ちを言っちゃいそうで。

「じゃあ、僕もう帰るから」

「ッ……」

僕は入ってきた扉に向かって歩き出した。

扉の前には美桜がいる。
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