君が笑ってくれるなら、それでいい。〜君のいない世界〜
「はっ…何を今更……」

その過去さえもなかったことにされてるくせに。

美桜と出会って数日たったある日、美桜は交通事故にあった。

さらにその衝撃で記憶喪失。あの質問の答えもわからないまま、美桜は僕のことを忘れてしまった。

それに記憶喪失になった後、会いに言ったら、

『優希くん?』

そう聞かれた。

いつもの“優くん”ではなく、“優希くん”って、呼ばれた。

それだけで何だか悲しくなった。

もう僕の知っている美桜はいないのではないかと思った。

事故は明らかな飲酒運転……正直、最悪だった。

美桜といることで、忘れかけていた“優希”を、自分を、やっと思い出せたのに。
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