君が笑ってくれるなら、それでいい。〜君のいない世界〜
僕は、死ぬほど痛い暴力は受けたことはある。でも、本気で死ぬような暴力ではなかったし、僕を捨てると言っても、親戚に預けた。

でも、美桜の場合、そんな生温いものじゃなかった。本気で死ぬような暴力も何回も受けて、物を投げられ、死にそうになったのも、一度や二度じゃない。

『どうして、そんなに笑っていられるの?』

一度気になって聞いてみた。

すると、意外な答えが返ってきた。

『美桜が悪い子だから』

当たり前のように返ってきたその言葉には、否定しかない。

美桜は悪い子なんかじゃない。

むしろ、悪いのは大人たちだ。

僕はそう美桜に言ったが、美桜は信じてくれなかった。
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