君が笑ってくれるなら、それでいい。〜君のいない世界〜
「え……優希?」

確かに今、優希って言った。

でも、もしかしたら、他の人なんじゃないか?

名前が一緒ていうだけかもしれない。

そんな思いとは裏腹に、看護師さんの言葉がまた聞こえてくる。

「優希くんかっこいいわよね〜。学校に電話したら自慢の生徒ですって、神崎くんのこと褒めてたわ」

もう、誤魔化せない。

今の話は、“神崎優希”についてだった。

(なんで病院にいるの?)

新しく生まれた疑問は、優希を傷つけてしまうことになるとは、この時は思わなかった。
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