炎は水とともに散り行く
「誕生日に命を落としたのか?」

「はい…今日は、兄とその友達でいつもよりも30分早めに登校したんです」

「何で?」

「兄の友達が『勉強したいから早めに行こうぜ』って誘ってきたんですよ。兄が通っている学校では、小テストがあって…で、登校していたら、事故で命を落としてしまいました」

「笑い事じゃねぇだろ」

僕は、春陽の表情を見ながら無表情で言う。春陽は、笑って話している。無意識なのか、無理をしているのかは分からない。

「分かってますよ…」

「時雨、春陽を天界に送ってから学校に来い。僕は、先に学校にいる」

「なぜ天界に送るの?悩みを聞いてあげないと…」

「中学生みたいなこいつが死神になれるかもしれないだろ」

「確かに…」

「あの、僕…高校生なんですけど…」

春陽が申し訳なさそうに言った。時雨は「嘘だよね!?」と騒いでいる。僕は「だから、うるさい!黙れ」と怒鳴った。

「本当ですよ。良く中学生に間違えられますけど…身長が低いですから」

「それだけが問題じゃないような気がするぞ。後は、時雨に任せる」

時雨は「了解しました!」と言った。僕は、学校に向かって歩き始めた。後ろから「じゃあ、天界に行こうか」と言う時雨の優しい声が聞こえた。
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