炎は水とともに散り行く
僕を包んでいた光が、少しずつ消えていく。僕は、表情を崩さずに辺りを見渡した。僕は、自分の家にいる。
「…時雨に話したいことか。珍しいな」
いつもの風景を見た僕は、ため息をついた。そして、「16年前に転生した死神…」と呟いた。
しばらくその場で立っていると、僕の目の前に、時雨が現れた。
「紅蓮~!」
「だから、うるさいな」
僕は、時雨に向かって冷たく言う。そして、ポケットから特殊な髪飾りを取り出し、手の中に置き、それを見つめた。
この髪飾りはドクロの形をしたもので、これを付けていると、人間と死神の境目にいる僕たちの姿を消してくれる。
僕と時雨は死神。死神であると同時に僕と時雨は生きた人間でもある。
見えてしまうと、安心して仕事が出来ない。なので、女神様にもらったこの髪飾りを付けて仕事をしている。
「女神様に誰か聞くの忘れたな」と呟いた僕は、もう一度女神様の所へ行こうとする。それを時雨が止め、「明日、聞きに行こう」と言った。
「それに明日は、いつもより早く起きるでしょ」
「そうだな」
僕と時雨は、一緒にこの家で暮らしている。時雨が「紅蓮と住みたい!」と騒がしかったから。髪飾りを机の上に置くと「そろそろ寝るか」と時雨に言った。