炎は水とともに散り行く



「おはようございます」

女神様は僕達を見ると、そう言って優しく微笑んだ。

「昨日の続きを聞かせろ」

僕は、女神様を見つめた。女神様は、表情を崩さずに「分かっています」と言った。

「今は、16歳で紅蓮さんと時雨さんが通っている学校にいます。その子を学校にいる間見て欲しいと言った理由ですが…たくさんの霊がその子に寄っているんです」

「たくさんの霊が?」

僕が呟いた。女神様はその呟きに「そうです」とうなずいた。

「その霊は皆…同じ未練を持っているような気がしてですね。そこで…」

「僕らが、その霊の悩みを聞けってか?」

「そうです」

「なら、学校にいる間見る必要ねぇな」

僕は女神様に背を向け、立ち去ろうとした。それを慌てて、時雨が止める。

僕が「何だよ」と不機嫌そうに聞くと、時雨は「話は終わっていないよ」と言った。

「それだけで話は終わりじゃない。俺が紅蓮に『明日は早く起きよう』と言った意味が無いよ」

昨日の昼、確かに時雨は「明日は早く起きよう」と言った。

「実は、女神様と話していたんだ。今日のことをね…女神様が様子を見て欲しいと言った少女は、俺の父親なんだよ」

「本当かよ」
< 5 / 14 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop