炎は水とともに散り行く
光が消え、辺りを見渡した僕は、見たことの無い景色に驚いた。地面は雲のように白く、空は海のように青かった。

「驚かせてすみません。ここは、死神の住まう場所、『天界』と言います。私は、天界を納めています。私が、あなた達をここへ連れてきた理由ですが…まず、ここが死神や死神になれる霊しか入れないことを知っていますか？」

「知っています」

「何でだよ！知っている方が…」

おかしいだろ、と言葉を続けようとした時、僕が知らない記憶が脳裏に浮かぶ。

1人の少年が目の前にいる女神様に微笑み、周りで同じ黒いローブを着た人達に見送られて白い光に飛び込んでいく。着いた先では、見覚えのある女性が「あんたの名前は、城川 紅蓮よ」と言った。

「何だよ。これは…」

頭が痛い。僕は思わず、その場でうずくまった。

「頭が…痛い……」

僕は、記憶のリミッターが解除されたかのように、次々と浮かんでくる誰かの記憶を見ていた。その少年は名前や口調は違うが、僕に似ている。

映像は、全て終わることなく途切れた。なぜか意識がはっきりとしていない僕は、その場で横になり、休んでいた。時雨がそっと僕の頬に触れる。その手の温もりが、僕を安心させる。
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