バリトンボイスで囁いて
迷路のようにグルグル回り、ゴールに辿りつけなくて
私の頭は、理解力も乏しく答えは出ない

どこに向かうのかひたすら無言で歩くだけ

「あの、、、ありがとうございます」
「は?なにが?」
「あ、さっき、助けてもらいましたから」
「あぁ。別に」

気だるげにチラッと視線を合わせるとまた歩き出す

ただ、ずっと繋がれた手は離れることを
拒むかのように指先に力が籠る

もう11月も終わるというのに、私の身体は真夏の
照りつける太陽のようにガンガンに暑かった

きっと全部、バリトンボイス様のせい

衣服を突き破ってきそうな鼓動も、沸騰しそうな
頭も、繋がれた手から噴火しそうな血液も、、、

全部、、、あなたのせい


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