バリトンボイスで囁いて
いつもと同じ車両に同じ席

ただ一つ違うのはバリトンボイス様の正体が
明らかになったこと

どこかソワソワしてしまう

それは多分、もう見てるだけの遠い存在では
なくなった気がしたからかもしれない

あ、きた。

気付いてもらえるかな、、、

席はいっぱいになっていて、私の目の前に立つ

「お、おはよう、ございます、、、」

緊張しすぎて噛んじゃったよー

感情の読み取れない冷ややかな目で、私を見下ろすと
フッと妖しく笑って耳元に唇を近づけた

「おはよう、菜々」

バ、バ、バババババリトンボイスがぁー!!
私のみっみ、耳元で、、、菜々って、菜々って
言った、、、

どう、、しよう

私の心臓破裂しちゃう

温風にアイスクリームを当てたみたいに、私、、、
一瞬で溶けた

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