バリトンボイスで囁いて
この日も弘人さんに会えると信じてた

けど、、、私の願いは見事に打ち砕かれた

どうして、今日はいないんだろう

具合いでも悪くして休んだのかな?
トラブルでもあって、帰れなかったのかな?

あらゆる考えが私の稚拙なタンクをいっぱいにした

あの朝のひとときが私の一日のバロメーター
なのに。

物悲しいオーラを背負ってクリニックのドアを開けた

「おはようございます」
「あ、おはよう、菜々ちゃん。負のオーラが漂って
るけど、大丈夫?」
「大丈夫です。仕事には支障ありませんから」
「僕でよければ話聞くよ?」
「いえ、先生の手を煩わせる程でもないので、、、」

桜木先生の申し出を丁寧に断り、私は着替えるため
ロッカールームへ身体を向けた


< 48 / 119 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop