バリトンボイスで囁いて
「伝わらないか、、、」

先生の呟きは閉められたドアに遮られ、私には
届かなかった


「おはよう、菜々。」
「おはよう。」
「あれ、その様子じゃ、今日はバリトンボイスは
聞けなかった?」

途端に襲う地雷に私は対処のしようもなく項垂れた

しまった。と思ったのか、さやかは手を口に当てて
バツが悪そうに目を伏せた

「そんな気にしないでよ。さやかが落ち込むこと
ないじゃない」
「そうだけど、バリトンボイスは菜々にとって
必要不可欠でしょ?一日がそれで決まるんだからさ」

すべてお見通しですか、、、さすがはさやか

あ、千佳さんなら知ってるかな?


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