バリトンボイスで囁いて
予期せぬ展開
平常心を欠いた私の心中は穏やかではない

だって、、、

眉目秀麗でかつ、冷淡無情な弘人さんが私の目の前
にいる

たぶん、、いや、確実に怒ってますよね?

そりゃそうよね
無視して電車に乗ったんですものね、、、

さっきからずっと無言のまま、ただ私を見下ろして
るだけ。

ちゃんと謝らなくちゃ

そのためにこの車両に戻ったんだから

私は意を決して弘人さんを真っ直ぐに見据えた

こ、怖い、、、

ダメ、私、ここで怯んじゃ無駄になる

「あのっ、、、私、土曜日は、すみませんっ、、
お酒臭いから、、その、逃げてしまいました」

ありったけの勇気を振り絞って言ったのに、
弘人さんは何も返してくれない。

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