バリトンボイスで囁いて
黒のビジネスコートの裾を靡かせて近付いてくる

形の綺麗なコートはブランドに相違ない

そんなところも、自分とのアンバランスさが
伺えて、どこをどう取っても別世界の人

「弘人さん、さっきのは忘れてください。」

頭を下げて、また歩き出そうとしたとき

「忘れない。もう、刻まれたからな」

口角をあげて不敵に笑うと、"またな"そう言って
背を向けた弘人さんは、来た道を颯爽と歩いて行った

今のって、どういう意味?


すでにオーバーヒートしていた頭は、ボンと大きな
音をたてて爆発した





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