バリトンボイスで囁いて
漏れ聞こえた声は、、、バリトンボイスでは
なかったけど、弘人さんだと確信した

合コンで作ってた声と同じだったから

私のせいで、この人は楽しみにしていたイブが
台無しになったんだ

このまま、弘人さんに会っていいのかな、、、

気持ちが沈んだ私の手元の携帯が震えた

弘人さん、、、

立ちあがり急いでその場を離れた


「もしもし?」
「あ、菜々か?待たせて悪い。駅まで来れるか?」
「大丈夫です。今行きます」

電話越しに初めて聞くバリトンボイスは
私の沈んだ心をたちまち引き上げてくれた

耳が熱い

会わない選択は瞬く間に打ち消された

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