バリトンボイスで囁いて
でも、、、

それでもいい。

弘人さんの記憶のほんの隅にでも私が残れたら、、、

幸せなんだから。


「今日はありがとうございました。」
「いや、こちらこそ。」

駅に向かいながら、まだ一緒にいたいと思う私は
無意識に歩くペースが遅くなる

口数も減っていくのが分かる

映画ならエンディングが写り出す頃だ

夢の時間はもうおしまい。

溜め息がこぼれ落ちた

「菜々、寄り道しないか?」

思いもよらない提案に私はふたつ返事でOKした
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