忘れられないひと【完結】

浮気の真相





社長から直々にニューヨーク支社への転勤を命じられた


とりあえず一年


軌道に乗ればあとは任せて、日本に戻ってきた時には部長として頼むと言われた
昔の俺なら二つ返事で即答しただろう


でも、今の俺には何よりも大事な彼女がいた



付き合って三年
6つ年下の彼女
付き合い始めは俺は29歳で彼女は23歳
出会った時から好きで愛しくて結婚するなら彼女しかないと思っていた
いつでも結婚したいと思っていたが23歳で若く大学卒業して社会人一年を過ぎた彼女は仕事が楽しくなってきた頃だったから言えなかった

三年経って32歳になっても気持ちは変わらなくて益々綺麗になっていく彼女にいつも恋していた


ニューヨークと日本の遠距離に耐えられるだろうか?
耐えられないのは自分だ


自覚していた


俺は彼女が好きで仕方なかったし、彼女が笑うと嬉しくて、泣くと心臓が締め付けられるほどに苦しかった
会社で俺の知らない男と一緒に居るのかと思うと激しい嫉妬に襲われた


毎日でも会いたくて、そろそろ一緒に住もうと伝えるつもりだった


ニューヨークか……
一つの結論が頭にあった


一緒に行けなくても、彼女の元に帰れる理由が欲しい
俺が居ない間、変な虫が寄ってきたら困る
彼女は人気者だから


ずっとずっと言いたくて我慢していた
最大の鎖で彼女を縛りつけたい
そんな危険な思考まで頭にあった



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