忘れられないひと【完結】

セクハラって…………
合コンでセクハラもなにも無いよね

抱き締められたとか、キスされそうになったなら兎も角、髪を撫でようとしてくれただけなんじゃ………
しかも、イケメンにそんな事されたら喜ぶ女子が大半なんじゃ………

元木さんも同じように思っているのか目を何度も瞬かせていた


でも、段々とその表情が何故だかキラキラしていくような………


「山野、もしかして…………そうかそうか！
あの山野が？そうかそうか！
山野なら仕方ないな俺もドンピシャなんだけど山野に譲るよ！」


元木さんは満面の笑みでバシバシと山野さんの肩を容赦なく叩いて去って行った
な、何だったの

山野さんは痛そうに叩かれた肩を擦っていた


「だ、大丈夫ですか？」


顔を覗き込むとまた、驚いた顔を見せたかと思うとフイっと逸らされてしまった
う、余計なお世話だよね
ほんと、この人無愛想だ


私は、何だか手持ち無沙汰になってお酒を飲み始めた


「悪い、大丈夫だから」


小さな声が横から聞こえて見れば恥ずかしそうにまた目を逸らした
ふふ、何だか可愛い人だなぁ
無愛想だけど、不器用でたぶん優しい人なんだろうな


そのあとはちょくちょく他の人に声を掛けてもらってそれなりに楽しんで合コンはお開きになった

会計を済まして、帰ろうとした時「真山さん」と声を掛けられた