忘れられないひと【完結】
今まで友人が「あの子いいな」とか「タイプだ」なんて言ってたが、よくわからなかった
でも、この瞬間から言える
俺のタイプだと
さらっとした触り心地の良さそうな茶色い髪は色白な彼女によく似合っていた
すっと通った鼻筋や
シュッとした瞳
可愛いと言うより、美人だ
あー、俺のタイプってこんな感じなんだ?と他人事の様に感じていた
「あ、えっと………」
戸惑った様な声に我に返った
思わず見詰めてしまっていたようだ
「あ、ごめん」
慌てて目を逸らして、出た声は上擦っていたように思う
急に心臓が騒がしくなる
「いえ、ここ座っても良いですか?」
「え、あぁ、どうぞ」
そんな短い会話でさえも緊張する
隣に座った彼女の気配にホッとした
他の男のとこに行かなくて良かった
「山野飲んでるか?」
そこに元木がビール片手にやってきて、俺と彼女の間に割り込んできた
元木の分彼女が遠くなり面白くない
たぶん、元木は気を使って来てくれたんだろうけど………
「あぁ、」
「優紀の友達だよね?」
「はい」
「俺、優紀の幼なじみの元木崇ね、よろしく」
「あ、真山紗也です
よろしくお願いします」
元木の差し出した手を躊躇なく繋いで嬉しそうにしている姿にムカムカする