忘れられないひと【完結】
恭介さんはそんな私に気付いたのか
「ずっと触れたかった、我慢してたんだよ」と私を抱き締めてキスをした
そんな恭介さんに拒否なんて出来ない、いや、する気もなくて恭介さんの部屋に連れて行かれた
「久しぶりで余裕ない」
「え、」
「紗也はこの前まで彼氏いたんだよな?
なんか、紗也に触れた男に嫉妬するよ」
何だか信じられない言葉が連呼された気がする
久しぶり?恭介さんみたいな人が?
余裕ない?まさか!
嫉妬?いえいえ、貴方の方が私の何倍も経験豊富ですよ
もちろんそんなやり取りは私の脳内でだけ繰り広げられたけど
実際もその通りで大人で余裕な恭介さんに翻弄されっぱなしだった
私の緊張を解してくれたんだ
「ごめん、無理させた」
私を抱き寄せて頭を撫でてくれる
私は気持ちよくて甘えるように恭介さんの胸に頬を寄せた
「あー、ほんと可愛いな」
私は何だか嬉しくて更にぎゅーと抱き付いた
「はー、ほんと堪んないな
久しぶり過ぎて加減出来なかったし
紗也が辛いから我慢してるのに」
また、同じ台詞が聞こえて私は顔を上げた
ん?と私を見つめる恭介さんは甘い
「あれ?信じてないだろ?」
「え?あ、」
「格好悪いけど、学生時代はそれなりに彼女いたけど社会人になってからは紗也だけだよ
仕事ばっかりで、女にうつつ抜かしてる場合じゃなかったしそんな気持ちにもなれなくて
悪友には男として大丈夫か、なんて心配されたよ」
「う、そ」