忘れられないひと【完結】

浮気の真相





「「あ、」」


仕事が休みで、前から欲しかった靴を買いに一人でモールに来ていた
たまたま、その時目が合った女性
相手も私を見て少し驚いた様子ではあったので、私は少しだけ会釈をしてその場を立ち去ろうとした
一度だけ会ったことのある女性

あの時の事は忘れられない
あれから、半年が過ぎようとしているのに


「ちょっと、あなた!」


そんな私を彼女は引き留めた
振り返った私に「話したいの」と言われて私は少し驚いたけど真っ直ぐな瞳に頷いた

今さら話をする必要なんてなかったのに………

頷いてしまったのは真っ直ぐな彼女の瞳が悲しみに揺れていたから


「さやさんだっけ?」

「あ、はい」


モールの中にある喫茶店に入ると静かなBGMと
ふんわりと優しい雰囲気の店に少しホッとする


「山野くんとは何にもなかったのよ」

「……………そうですか」

「気付いてたの?」

「いえ、今となってはどちらでも関係ありません
あなただけが悪くもない
信じきれなかった私にも隙を見せた恭介さんにも非があったと思います」


はっきりと言い切った私に彼女は大きな瞳を更に大きくさせて驚き、ふっと笑った


あ、可愛いひと
素直にそう思った




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