忘れられないひと【完結】
「紗也ちゃん、たぶん冗談にしか思ってないだろうけど俺はずっと本気、この日を待ってたよ
彼氏にかなり大事にされてたみたいだし、上海に行ってる間に結婚しちゃうかなぁ、って思ってたけどね
やっと、俺のターンだ」
俺のターンって………
いつもとは違う部長の様子に戸惑う
「いつ、別れたの?」
「…………1年になります」
「1年?そんななるんだ?手付けられなくて良かったよ」
「そ、そんな簡単に付けられません」
「紗也ちゃん、人気あるかならね~
彼氏と別れたなんて知られたくないから明日からは別の方法にしないとな」
「べ、別の方法…………」
「今までみたいに、"彼氏とは別れた?"とは聞けないでしょ?」
「…………っっ」
甘い部長の眼差しに直視できない
そんな私に気付いたのか「可愛いな、たまんないな」なんて優しく頭を撫でてくれる
あ、違う
この手は違うんだ
優紀にも新しい恋をするって宣言した
合コンはともかく、新しい恋を探すつもりだ
でも、私…………
「部長…………ごめんなさい」
「紗也ちゃん…………」
「ダメなんです、私………
部長の事は大好きで尊敬してます
でも、部長は上司で先輩で同僚で………」
「恋愛対象にならない?」
「はい」
部長が真っ直ぐに伝えてくれた想いに私も向き合わないといけない