忘れられないひと【完結】
俺が日本に戻った時にはいつも悪友である卓也と会っていた
いつも、「うち、泊まっていけ」と言ってくれていたが、俺がニューヨークに行って暫くして卓也と優紀ちゃんは同棲を始めていて
流石の俺も同棲中の家に泊まるのは気が引けて一度も泊まったことはない
そして、日本に戻ることが決まってから最後の出張の日
その日も、卓也と飲んだ
別れてから初めて卓也は俺に別れた時のことを聞いてきた
俺もちゃんと話をして、今の紗也への気持ちも伝えた
その時、紗也の結婚を聞いた
頭が真っ白になった
俺の手はまだ紗也の柔らかさを忘れてなんかないのに
紗也は他の男と………
それを考えるだけで腸が煮え繰り返る程の嫉妬に襲われた
会えなかった1年間
きっと、彼女は更に可愛く魅力的になったのだろ
俺は二度と彼女に会うことは出来なくなってしまった
いや、もしかしたら卓也と優紀ちゃんの結婚式では会えるかも知れない
会えるかわからない日を想う自分が情けない
卓也に言われた
何で縋らなかったのか
あんなに好きだったのに、好きなら形振り構わず縋れば良かったのに
格好悪くても、離れない方法はあっただろ、と
今、何を後悔しても遅い
大好きだった彼女はもう他の男のモノだ
どんなに俺が好きで仕方なくて
愛したくても
俺は、もう
紗也を抱くことは出来ないんだ