忘れられないひと【完結】



「私をお嫁さんに選んでくれてありがとうございます」


そう言うと恭介さんは困ったように眉間に皺を寄せた

何故だろうと首を傾げると更に眉間に皺が寄る


なんで?
なんか、私変なこと言った?
え?
もしかしてプロポーズは私の勘違い?

でも、はっきりと言ってくれたよね?
聞き間違い?
パニックになった時に飛び込んできた言葉に私は絶句した


「さっきから抱きたくて仕方ないのに
そんな可愛い顔で可愛いこと言われたら我慢できなくなるよ」

「え?」

「さっきも言っただろ?
いつも、離れたくなかったって
ずっと、紗也に触れていたかったんだ
何度抱いても足りなかったよ
もう、恥を承知で言うけど紗也と付き合った時にも7年程女性を抱いてないって言っただろ?」

「あ、はい」



確かに言った
久しぶり、だなんて言う恭介さんに信じられなかった


未だに信じられないけど
この一年だって、恭介さんなら女性からのお誘いは一回や二回じゃないはずだ

そんな恭介さんが社会人になってから7年もなんて


「高校や大学時代の友人達がさ、セックス良かったとか、身体の相性良かったなんて話をしてきた時も俺にはわからなかった」


お、男の人ってそんな話してるの?


聞いてはいけない思春期の男子のそんな事情を聞いてしまって何だか恥ずかしくなる



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