忘れられないひと【完結】




それにふと、自分達も思い出してしまう

初体験した女友達から「痛くて死にそうだった」なんて話を聞いたりしていたなぁって
そんな自分もそんな話を友人に打ち明けていたなぁって
そう思うと、男子も女子も同じなんだなと可笑しくなってくる


「今、何を思い出してる?」

「え?」


急に低くなった恭介さんの声


「いま、誰のこと思い出していた?」

「いや、別に、なにも」


そう答えたと同時に私はその場に押し倒されていた


「き、恭介さん?」

「何を思い出してた?言わないとここで抱くよ?」

「え、あの、」


恭介さんの手が私の身体を這い出した
まずい、これは


「き、恭介さん!い、言いますから!」


ぴたっと恭介さんの手が止まる
ほっとしたのも束の間、手を引いて起き上がらされ真っ直ぐに見詰められた


「残念、じゃあ言って」

「う、あ、あの………」


いや、言うの?
これってさっきの男子の性事情より恥ずかしくない?


「紗也」

「あ、あの、わ、笑わないでくださいね
き、恭介さんが、あの、男子とそんな話をしていたって聞いて、女子もそうだなぁって………
女子も男子と同じだなぁって」

「どんな話?」

「う、あ、は、初めての時のこととか、話したり…………」


恥ずかしくて俯いてしまう
四捨五入したら私も30だ
そんな歳になって、こんなこと暴露するなんて………


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