柏木くんにはヒミツがある。
「なんで?」
「え……?」
「なんで気になったの?」
……まるで、何かを期待しているみたいだった。
だけど、私はその質問には上手く答えられなくて。
だって、自分でもよく分からなかったから。
「わ、分かんない……」
どうして気になったんだろう。
どうしてモヤモヤするんだろう。
どうして、
「はっ、何だそれ」
そんな風に笑った顔を見せるのは、私だけにしてほしいなんて思うんだろう。
分かんない。
自分のことなのに、全くもって分かんない。
数学の難しい問題みたい。
私、数学苦手だから、だから分からないのかなぁ。
「なぁ、三木、」
柏木くんに名前を呼ばれて、初めて自分が俯いていたことに気が付いた。