柏木くんにはヒミツがある。


「お前の考えてること当ててやろーか」

「……はい?」



瞬きをパチパチと繰り返す。

いきなり何言ってるんだろ、柏木くん。
どういうこと?



「俺さ、触っただけで分かるんだよね。相手が何を考えているのか」

「え、本当に?」

「本当です。試しにほら、ちょっと触ってみて」



そう言って人差し指を向ける柏木くん。

私は、半信半疑で、その指に自分のをちょんっと当ててみた。



「何でもいいから、なにか考えてみて」

「えっ?えーっと、じゃあ……」



何か、なにか考えなきゃ。

チラッと柏木くんの指に視線を移す。

……か、柏木くんの、



「"柏木くんの指は細くて長くて綺麗だなぁ"」



その声に、言葉に、目を見開く。

柏木くんを見て、「嘘でしょ」と呟くと困ったように彼は笑った。

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