柏木くんにはヒミツがある。
だから、人に触れないように、触れられないように気をつけた。
高校からは、人付き合いも浅くした。
じゃれあったりして笑ってる同級生達を見て、少し虚しくなったこともあった。
でも、自分が傷つくよりはマシだ。
……マシだろ。
自分が考えていることなんて、所詮他人には分かるはずがない。
何を考えたって、思ったって自分の自由。
誰かの悪口でも、悪巧みでも、考える分にはなんの問題もない。バレなきゃ問題ない。
問題があるのは、俺のほう。
その考えですら、分かっちゃうんだもんな。
触っただけで。
『柏木くん、この前はありがとうね』
でも、三木は、違うなって思ったから。
言葉と行動に嘘がないっていうか。
本当、思ったことをそのまんま口に出してるだけっつーか。