柏木くんにはヒミツがある。
どうしようー、柏木くんー。
色んな意味でどうしようー。
濡れてるせいで寒いしー、
柏木くんと2人っきりでさっきから心臓うるさいしー、
さっきから好きって、言ってしまいそうになるしー。
「どうしよう……」
「いやいや、そんな思いつめた顔しなくても。すぐに戻ってくるでしょ、先生も」
「うう……」
可笑しそうに笑う柏木くん。
そんな彼の、カーディガンの裾をそっと掴んだ。
「じゃあ、じゃあ、ずっと側にいて」
「え!」
「乾くまで、私の隣にいて」
「えー……?」
パチパチと瞬きをする。
すごく、驚いているみたいだ。
そりゃそうだよね、こんな意味深な言葉、友達から言われたってビックリするだけだよね。