柏木くんにはヒミツがある。
でも、でもさ。
本当にこれは、ただの私の自己中心的な発言なんだけどさ。
私だけが柏木くんに対してドキドキしてるなんて、そんなの、なんか悔しい。
「……いや?」
「っ、ちょっとまって、なにそれ……」
目が合った柏木くんは、みるみるうちに顔を赤らめて、しまいにはパッと顔を逸らしてしまった。
片手の手のひらで口元を覆って、必死に何かを抑え込んでいるみたい。
「もー……急になに、どしたの。ビックリするじゃん」
そのままの体勢で、いつもの口調でそう言った柏木くん。
"頑張って"何でもないフリをしているみたいに見えるけど、これは私の気のせいなのかな。
「……柏木くんをずっと想っていたら、口からこぼれ落ちました……」