柏木くんにはヒミツがある。
***
「あ、柏木だ」
「え、どこー?」
放課後、帰ろうと靴箱でローファーに履き替えようとしたところで、みっちゃんがそう言うから周りを見渡してみた。
だけど、柏木くんの姿はどこにも見当たらない。
「嘘だよ、ばーかばーか!」
「あいたっ、ちょっ、急になに……!?」
思いっきりよくスパーンと私の頭を叩いたみっちゃんは、呆れたようにため息をついた。
「あんた、柏木のこと好きなんでしょ」
「…………え!」
「顔に出てるのよ。あとアイツのこと見過ぎ」
「えぇ……っ」
まったく……なんて言いながら、みっちゃんはローファーに履き替える。
で、でも、どうして突然そんなことを言うの?