柏木くんにはヒミツがある。


振り向かなくても分かるよ。

ギュッと、両手を握りしめた。


話を、しなくちゃいけない。
ちゃんと私の気持ちを伝えて、それで、振ってほしい。
いや、実際のところ振ってほしくないんだけど、でもきっと、私の恋は上手くいかないだろうから。


上手くいかないのだとしても、言え、私。



「……あ、あのね、今日、ずっと避けててごめんね」



上手く息が吸えない。
声も裏返ってしまって、すごく恥ずかしい。

すぐ後ろに、柏木くんがいるんだと思うと頭が真っ白になって何も考えられなくなる。

頑張れ、頑張れ、頑張れ。



「いーよ、別に。気にしてない」



柏木くんの声は、相変わらず優しくて。

良かった、私まだ、嫌われてないって思ったら、すごくすごく安心した。

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