柏木くんにはヒミツがある。
目が覚めた時、私は保健室のベッドの上にいた。
『大丈夫?』
『え……』
声のした方に顔を向けると、ベッドのそばの椅子に柏木くんが座ってた。
私が目を覚ますまで、ずっとそこにいたのかな、なんて思った。
『あぁ、新井は用事があるみたいで帰った。お大事にって言ってた』
『あ、そう、なんだ』
『先生が三木の家に電話してたから、もうすぐ迎えも来るんじゃないかな』
『あ、ご丁寧に……』
うまく頭が回らない。
学校に行ったせいで熱が上がったんだろうな。
それで、きっと倒れちゃったんだ。
みっちゃんが私のことを持ち上げられるわけないから、柏木くんがここまで私を運んできてくれたんだな。
『まだ辛いんだろ。寝てなよ。迎えの人が来たら起こしてあげるから』