ブライダルベールの花籠を君に【短編集】
1
そっと、立ち止まる。
竜也が居なくなって、8年が過ぎた。また、夏は巡る。何年も何年も。
竜也が動きを止めたあの日がやってくる。
今年で___今日で、8度目の出来事だ。
線香の匂いが充満した辺りにしゃがみ込み、そっと手を合わせ目を瞑る。
ここで、何度
あの日を思い出しただろう。
君の笑顔を思い描いただろう。
何度。
君の声を聞きたいと思っただろう。
何度。
_____逢いたいと、思っただろう。
竜也にこのごろの近況報告やら、色々と伝えたいことを伝え終わったあとに目を開ける。
『逢いたいんだよ。ほんとにさ。』
だけど、姿を最後に見ることが出来たのは、8年前の10月4日が最後で。
声を感じることが出来たのは、3年前の今日が最後だった。
もう、見ることは出来ない。
竜也のお墓には、たくさんの人に思われていたのだろう。
綺麗な花が、花瓶の中に立派に生けられている。
死んだ後も、思ってくれる人がいるのは、羨ましいし、凄いことだと思う。
ゆっくりと立ち上がれば、向日葵が風に揺れた。
暖かに、微笑むように、柔らかに揺れた。
それはまるで、竜也の笑顔のようだった。
『また、来るね』
一声かけて、バケツと柄杓を持ち歩き出す。
竜也に、背を向けて。
✩*॰¨̮
竜也が居なくなって、8年が過ぎた。また、夏は巡る。何年も何年も。
竜也が動きを止めたあの日がやってくる。
今年で___今日で、8度目の出来事だ。
線香の匂いが充満した辺りにしゃがみ込み、そっと手を合わせ目を瞑る。
ここで、何度
あの日を思い出しただろう。
君の笑顔を思い描いただろう。
何度。
君の声を聞きたいと思っただろう。
何度。
_____逢いたいと、思っただろう。
竜也にこのごろの近況報告やら、色々と伝えたいことを伝え終わったあとに目を開ける。
『逢いたいんだよ。ほんとにさ。』
だけど、姿を最後に見ることが出来たのは、8年前の10月4日が最後で。
声を感じることが出来たのは、3年前の今日が最後だった。
もう、見ることは出来ない。
竜也のお墓には、たくさんの人に思われていたのだろう。
綺麗な花が、花瓶の中に立派に生けられている。
死んだ後も、思ってくれる人がいるのは、羨ましいし、凄いことだと思う。
ゆっくりと立ち上がれば、向日葵が風に揺れた。
暖かに、微笑むように、柔らかに揺れた。
それはまるで、竜也の笑顔のようだった。
『また、来るね』
一声かけて、バケツと柄杓を持ち歩き出す。
竜也に、背を向けて。
✩*॰¨̮
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