ブライダルベールの花籠を君に【短編集】
「藤田さん、結婚しないの?」
もちろん、結婚したいよ。したいに決まっているじゃないか。
だけど、誰でもいいわけじゃない。
『結婚をしたい人、もう居ないんです。
私よりも二つ年上だったのに、いつの間にか私が年齢を追い越してしまったんです。』
柔らかく、微笑んで、振られた話に返す。
ずるいと分かってる。そうすれば周りの人は踏み込めなくなるから。
私はずるいの。
だけど。別れる直前に海で話したこと。
「俺ね、夢があったんだ。
彩との未来が欲しかった」
私だって、そうだから。
あなた以外の人との未来は要らない。
だから、笑うの。
きっと、私の彼氏は、最初で最後君一人だけだよ。
誰もがばかにしたようにわらうかもしれないけど、それでもいいの。
後にも先にも、
君との恋。
それが全てでした。
終。