ブライダルベールの花籠を君に【短編集】
思えば思うほど、会いたくなる。会えないというのに。この前別れたばっかだと言うのに。ダメだ、いつまでもグジグジしてるな。笑え。

『今日ね、私お弁当パンなんだ!』

「へぇ、珍しいな。彩は白米のイメージあったから。」

『えへへ、ビックリでしょ!』

「あれだけ米好きを豪語してるのにな。米派を裏切るのか?」

『……響くん、パン派じゃん。』

「知ってたか。」

『知ってるよ!お母さんが昨日、朝早くてお弁当作ってる暇ないからこれ持ってってって昨日買ってきてくれたの!』

「なるほどな。彩、料理できないもんな。」

『出来るよ!?オムライス作れるよ!?』

「それ以外は?」

意地悪をするように唇の橋を釣り上げ笑う響くんに私は頬を膨らます。

『出来ない!!』

「俺は出来る。」

『むむむむむむ!!!!』

少し何かを考えるような仕草をした後、響くんはこちらを見て言った。

「おばさん、朝早く出かけてったって言ったけど何時ぐらいに帰ってくんの?」

『分かんない。結構、遅いらしいけど……』

「それなら、彩、晩御飯一緒に食べねぇ?」
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