俺、男装少女だから。
プロローグ
『暖かな春の訪れとともに、僕たちは逢坂(オウサカ)学園の入学式を迎えることとなりました。
本日はこのような立派な入学式を行っていただき大変感謝しています。』



な~んて形だけの式に俺も形だけの代表挨拶をする。
昨日、ネットでググって出てきた言葉をただ繋げただけの言葉。
感謝なんてこれっぽっちもしていない。
寧ろ迷惑な伝統行事だろう、こんなもの。



『先生方、並びに来賓の方々、僕たちのことを温かくそして時に厳しくご指導していただきますようよろしくお願いします。
新入生代表  美都 那智  』



貼り付けた笑みを剥がすことなく降壇して、すっかり冷たくなったパイプ椅子に腰を下ろす。



2時間近く行われてたありがた迷惑なのも終わり。



確かこの後は、各クラスで寮の発表だったな。



「あ、美都ちょっと・・・」



他の生徒と同じように館履きから上履きに履き替えて他の新入生と同じように、体育館を出た所でスーツを着た男に手招きさられた。
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