俺、男装少女だから。
「んでだよ?」



ペットボトルの蓋を開けて、水を口に含む。



『だって昨日のバイト、一店舗だけじゃないもん。』



「は?」



コウキはコーヒーの淹れる手を止めた。
カエデもトオヤも同じように手を止めて、こちらを凝視している。



リンは相変わらず、ぼぉとしているけど。
というか目開けたまま寝てないか?



「那智くん、バイト掛け持ちしてるんですか?」



『え、うん。』



それがなんだ。
バイトの掛け持ちなんて珍しいことでもないでしょ。



「どこでバイトしてるの?」



帰ってきてから質問しかされてないように思える。



『どこって・・・。
昨日は、夕方はカフェ。
夜はバー、朝はコンビニ。』



「3個もバイトしてんのかよ。」



どかんっと俺の正面に腰を下ろすコウキ。



『ん〜まぁ。』



もっとしてる。
なんて言ったら面倒なことになりそうだから、やめておこう。
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