俺、男装少女だから。
ペットボトルの蓋を閉めて、立ち上がる。



「おいどこ行くんだよ。
もしかしてまたバイトか!?」



『んなわけないでしょー?
疲れたから寝る。』



思えば昨日から寝ていないんだから。
流石の俺でもキツイ。



『なんかあったらテキトーに起こして。
部屋は勝手に入ってきて貰ってい〜からさ。』



そんじゃと手を緩く上げてリビングから出る。



「あ、あ!
那智くん!!」



正確には出ようとした。



『え〜なにー?』



何か思い出したように、慌てた声音を出したトオヤ。



「あ、いえ!なんでもないです。
那智くん、疲れてるんですもんね・・・。」



語尾はだんだん弱々しい声になっていく。
なんなんだよ、止めたんだから要件言ってくれ。



『何なのさ〜、もー。』



しょぼくれるトオヤを余所に優美にコーヒーを飲むカエデに目をやる。
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