俺、男装少女だから。
普通のごく普通の家庭だったはずだった。
弟が生まれるまでは。
弟が生まれてから、少しずつ普通の家庭は異常になっていった。
俺の知らないところで、少しずつ。
いや、知っていたはずなのに知らないふりをしたんだ俺は。
弟の白い肌にたくさん傷があったこと。
夜になると聞こえてくる、母親の悲痛の叫び声と弟のすすり泣く声、父親の怒号。
怪しい男たち数名が、家に出入りしていること。
年を重ねるごとに弟から表情がなくなって、人目を避けるようになったこと。
俺は他人だから。
全部全部、目をつむって耳をふさいでいた。
弟が生まれるまでは。
弟が生まれてから、少しずつ普通の家庭は異常になっていった。
俺の知らないところで、少しずつ。
いや、知っていたはずなのに知らないふりをしたんだ俺は。
弟の白い肌にたくさん傷があったこと。
夜になると聞こえてくる、母親の悲痛の叫び声と弟のすすり泣く声、父親の怒号。
怪しい男たち数名が、家に出入りしていること。
年を重ねるごとに弟から表情がなくなって、人目を避けるようになったこと。
俺は他人だから。
全部全部、目をつむって耳をふさいでいた。