俺、男装少女だから。
「私は那智様のお隣で仕事をしたいです。」



『ちょい、急に何語ってんのさ。
様付けやめろ。』



「本当のことを言ってるだけだよ。
那智に上に立ってほしいから。」



クスクスと小さく笑う声が聞こえた。



「申し訳ございません。」



「かまわないですよ。
本当の那智を見られた気がして、うれしいです。」



急にそんなこと言われたら少し恥ずかしい。



「那智。」



『・・・』



「貴女がやりたいことをすればいい。
今、やりたいことはないのですか?」



『・・・美都になんて絶対頼らないって思ってたけど、少し考える。』



「わかりました。」



「それじゃあ帰りますか?」



『あぁ。』



「では、失礼致します。」



理事長室を出て静かな廊下を歩く。



「良かったね。」



『・・・』



「家に帰ったら質問攻めだよ、きっと。」



隣でカエデは楽しそうに笑う。
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