俺、男装少女だから。
『んねぇ、俺は』



「行かないなんて言わないよね?那智。」



コイツは、変なとこで鋭いんだよな。
人の心理がよく分かってる。



『そのまさかのことを言おーとしたんだけど?』



「那智、俺らから1歩引いてるのはいいけどさ、俺はそんなの関係なく踏み込むからね?」



『・・・』



「きっと俺だけじゃないだろうけど、覚悟しといた方がいいよ。」



『覚悟?はっ。
悪いけどお前たちに心、開く気はないから。』



貼り付けてた笑みが剥がれていることに気づいたのは、言葉を発してちょっとしてからだった。



カエデも、トオヤも立ち尽くして固まっていた。



『ほんじゃ〜俺はバイト行くから〜。
あとは、みなさんでどーぞ。』



2人の間を通って階段を降りて行く。



「それでも俺は那智が知りたい。」



背後で聞こえた声は聞こえなかったフリをして、寮を後にした。
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