俺、男装少女だから。
「確かに楽しそうに笑ってた。」



「那智。」



俺の拳にそっと何かが触れた。



手に触れた手を辿って顔を上げれば、穏やかに笑ったリン。



『ど〜したの?リン。』



俺はちゃんと笑ってる。
笑えてる。



「さっきの方が良かった。
さっきの笑顔の方が、那智っぽい。」



『・・・』



「約束したから何も言わないけど、そっちの方が可愛い。」



可愛いって・・・。



「はっ、凛。
可愛いはねぇよ!」



「そうですね、今の那智くんはカッコイイだと思いますよ。」




この際、可愛いでもカッコイイもどっちでもいい。



『も〜なんでも良いから、アクセサリー買いに行こー。』



俺の話題を早く逸らしたかったから4人を置いて目的もなく足を進めた。



「あっ、おい。那智!
どこ行くんだよ、てめぇ!!」




「那智、もう昼前だからアクセサリーの前に昼食にしよう。」
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