俺、男装少女だから。
『・・・。』



「紅綺も俺も、那智がありがとうって笑ってくれる姿が見たくてやってること。」



「そーだぜ?那智くんよ。」



肩に腕を置いて来たヤツが誰かなんて、振り向かずとも分かる。



まさか居るとは知らなくて驚いた拍子に、持っていたローテーブルを落としてしまったがリンが拾ってくれた。



「もう、金は諦めろや。
オソロのブレスレット代も全員分、俺が払った訳だしよ。」



『え?』



いつの間に払ったんだよ。



「それでも諦められねぇなら今度、うめぇ和食屋に連れてってくれよ。
もちろん、全員分奢りでな。」



『・・・分かったよ。』



「ふっ、楽しみにしてるぜ。
・・・おら、時間だ。行くぞ。」



『は〜い。』



リンは、と周りを探してみるがどこにも姿がなかった。



『リンは?』



前を歩く紅綺に尋ねてみる。
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