俺、男装少女だから。
「やほー那智くん。」



人懐っこい笑みを浮かべるそいつは矢崎の家に居候している池田。



『お疲れ様です。
注文入りましたよ。』



何故居候しているかとかは知らない。
けどこのバーでキッチン担当として雇われている。



「ほいよ〜。」



注文を書いた紙を冷蔵庫に貼ってさっさとキッチンを出ようとした。



「あ、そーいえば・・・。」



そう声をかけられれば足を止めざるを得ない。



だけどいつまで経っても続きを話そうとしない池田に腹が立つ。



『早くしてくださいよ、忙しいんですから。』



ニコリといっそう口角を上げて振り向けば、いつもと変わらない笑顔でこちらを見ていた池田と目があった。



あぁ本当に苦手だ。
嫌いではないんだけどな。



その証拠に、学園での作られた那智は池田を真似ている。
どんな時でも笑顔で、緩い口調。
掴みづらい謎だらけの性格(キャラ)。
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