俺、男装少女だから。
「歳は教えてくんないから知んないけど、学生でしょ?那智くん。
したら、そんな掛け持ちしてたらガッコー大変じゃない?」



〝教えてくんないから〟を妙に強調した池田は美味しそうに笑っている女性客を見ていた。



『じゃあ池田さんが教えてくれたら教えますよ。』



「またそれか〜。
・・・ししょーは知ってるんですよね?」



「あ、あぁ。
ただどこの高校かまでは知らねぇよ。」



『あっ、ばか!』



慌てて矢崎の口を封じるがもう遅い。



「あっははは!!
ししょー、チョロい。
那智くん、素出てたし!」



『矢崎さん・・・。』



爆笑する池田を睨みながら、矢崎のほっぺたをつねる。



「いてててて。
ぎょめんってなじ。」



『よくそんなんで情報屋できてましたね。』



まったく、とつねるのを辞めてまだ腹を抱えて笑っている池田の隣に並ぶ。



「な、なに?」



『確かに俺は学生ですよ。
・・・ほら。』
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