叶わぬ恋…それでもあなたを見ていたい

『はい、藤堂です。』





ナースステーションにいる看護師の山田から医局の藤堂に電話があった。





『はい、はい。えっ!?美咲が?』




その声に藤堂の机の近くにいる梶田と田中が反応する。





『そうですか……。まぁ本人がそういうなら……。』





用件が終わり、受話器を置くと藤堂を見ている二人に向いた。






『美咲が、帰宅しないって山田さんに言いにきたようです。』





『ぇえっ!?』





田中が一瞬驚く。





『美咲ちゃん、一時帰宅の予定だったんですか?』





梶田が口を開く。





『えぇ。本人が帰りたいって言い始めて、父親からの要望もあって今日の午前中に許可を出したところだったんですけど。』





『何かあったのかな……。』





『たぶん僕が今から行っても話さないと思いますので、ひとまず山田さんから事情を聞いてもらってます。』






『どこで?』





『部屋に戻りたくないみたいなので、ナースステーション横の談話室です。』





『そう……。』





田中は何か考えた様子である。






藤堂は山田の報告を医局で待った。


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